効果的かつ快適な脱毛を求めているなら、毛質や肌質、照射スピードなどを比較し、あなたの好みに合ったマシンを選ぶことが大切です。
今回は、医療脱毛レーザーの中でも人気機種と言われる「ジェントルレーズ」と「ジェントルマックス」をテーマに掲げ、効果や仕組み、リスク、デメリットなどを解説していきます。
「どの機種がいいのかわからない」「自分に合った機種が知りたい」という方に向け、それぞれの違いについてもまとめましたので、ぜひお役立てくださいね。
ジェントルシリーズの種類は主に3つ

Gentleシリーズは、シネロン・キャンデラ社が開発したレーザー装置。
以下の3種類があり、搭載されているレーザーの種類や波長が違います。
種類 | レーザー | 波長 |
GentleLase Pro (ジェントルレーズプロ) | アレキサンドライトレーザー | 755nm |
GentleYag Pro (ジェントルヤグプロ) | 熱破壊式(HR)ヤグレーザー | 1,064nm |
GentleMax Pro (ジェントルマックスプロ) | アレキサンドライトーレーザー+ 熱破壊式(HR)ヤグレーザー | 755nm/1,064nm |
ちなみにジェントルレーズの上位機種が「ジェントルレーズプロ」です。
クリニックによって「プロ」をつけず、単に「ジェントルレーズ」「ジェントルマックス」と表記する場合もあります。
最新機種「ジェントルマックスプロ プラス」も登場し、注目を集めています。
これ以降は「ジェントルYAGプロ」の表記は省略し、クリニックでの導入数がより多い「ジェントルレーズプロ」と「ジェントルマックスプロ」について解説していきます。
ジェントルマックスプロにはジェントルYAGプロと同じ1064nmの熱破壊式(HR)ヤグレーザーが搭載されており、効果や特徴はまったく同じですのでご安心ください。
ジェントルレーズプロは日本で20年以上使用されているマシン

長い歴史を誇るジェントルレーズプロは、医療レーザー脱毛のゴールドスタンダードとも呼ばれています。
そんなジェントルレーズプロの特徴は、以下の通りです。
- 厚生労働省の薬事承認を取得
- アレキサンドライトレーザーの波長(755nm)を搭載
- ハイスピード照射が可能
- パルス幅(放出持続時間)が0.25~100msecの範囲で変更可能
- 痛みを軽減できるよう、冷却ガス機能(DCD)を搭載
毛根、毛包、毛の周囲組織に効率よくアプローチ可能な755nmの波長が採用されているため、ワキや脛などの太い毛にも適しています。
①ジェントルレーズプロの効果と仕組み
ジェントルレーズプロは、長期減毛の効果が期待できるレーザー装置です。
厚生労働省にも「治療を繰り返すことで、長期的な減毛効果が得られる」と評価されています。
仕組みとしては、メラニンに反応するアレキサンドライトレーザーを照射すると、光エネルギーが毛幹や毛根、毛包などの周辺組織に吸収されます。
すると、メラニンに吸収された光エネルギーが熱エネルギーに変換されます。
この輻射熱(ふくしゃねつ)によって毛の成長をつかさどる組織が破壊され、毛が生えにくくなるという仕組みです。
②ジェントルレーズプロのリスク
ジェントルレーズプロは、前世代品にあたる「GentleLase GLDermatological Laser」を改良したものです。
ジェントルレーズは承認を取得してから20年以上国内で使用されている実績を誇ります。
米国や欧州でも使用されていますが、「医療機器本体の変更、回収が必要になるような重篤な不具合の発現はない」と報告されています(2016年6月時点)。
このようなことから、重大なリスクの心配はありません。
ただし、以下のような有害現象が現われるケースもあります。
有害事象の種類 | 累積発現例数/合計症例数 | 累積発現率(%) |
紅斑・発赤 | 964/4,301 | 22.4 |
浮腫 | 629/4,301 | 14.6 |
手技中の疼痛・不快感 | 484/4,301 | 11.3 |
色素沈着過度 | 165/4,301 | 3.84 |
色素脱失 | 104/4,301 | 2.42 |
周辺の多毛化 | 43/4,301 | 1.00 |
こちらはアレキサンドライトレーザーによる減毛または脱毛について示された文献から抽出したデータです。
ジェントルレーズプロが他のアレキサンドライトレーザーに劣っているということではありません。
レーザー機器で脱毛を行う場合、このように一時的な有害物質(副作用)が現われる可能性もあるので、覚えておきましょう。
③ジェントルレーズプロのデメリット
ジェントルレーズプロのデメリットを挙げるとすれば、痛みが強い点です。
「冷却機能(DCD)が搭載されているのでそこまで痛くない」と言われることもあるのですが、ピークパワーが高いため、どれだけ冷やしても結局痛いのです。
特にVIOやワキなど皮膚が薄く毛が濃い部分の脱毛では、骨まで届くような強い痛みを感じるケースも考えられます。
熱破壊式は別名ショット式とも呼ばれ、痛みに配慮した脱毛施術が難しいため、気になる方は蓄熱式のダイオードレーザー「ヴィーナスワン」がおすすめです。
「ヴィーナスワン」についてはこちらの記事で紹介していますので、ぜひチェックしてくださいね。
ジェントルマックスプロは毛質に合わせた脱毛が可能なマシン

まず、ジェントルマックスプロの特徴について挙げます。
- 厚生労働省の承認を取得
- アレキサンドライトレーザーの波長(755nm)を搭載
- 熱破壊式(HR)ヤグレーザーの波長(1,064nm)を搭載
- ハイスピード照射が可能
- パルス幅(放出持続時間)が0.25~100msecの範囲で変更可能
- 痛みを軽減できるよう、冷却ガス機能(DCD)を搭載
ジェントルレーズプロと違うのは、755nmと1,064nmの波長が1台に搭載されている点です。
これにより、肌質・毛質に合わせた脱毛が可能です。
①ジェントルマックスプロの効果と仕組み
ジェントルマックスプロも、長期減毛の効果が期待できるレーザー機器です。
日本の厚生労働省にも「長期減毛・色素性疾患用レーザー装置」としての有効性や安全性が承認されています。
仕組みとしては、レーザーを当てることで毛幹および毛根に光エネルギーが吸収され、変換された熱エネルギーによって毛の周辺組織である毛乳頭や毛包、バルジ領域などが破壊されます。
毛の成長をうながす組織を破壊することで、長期的な減耗効果が期待できるのです。
メラニンへの吸収率 | 届く範囲 | |
アレキサンドライトレーザー | ヤグに比べて吸収されやすい | ヤグに比べて浅い範囲に届く |
熱破壊式(HR)ヤグレーザー | アレキサンドライトに比べて吸収されにくい | アレキサンドライトに比べてより深い範囲に届く |
なお、ジェントルマックスプロには、アレキサンドライトレーザーと熱破壊式ヤグレーザーの2つの波長が搭載されており、それぞれの特性は上図の通りです。
それぞれに向き不向きがあり、抜けにくい剛毛にはヤグレーザーの波長、脱毛効率を求めるならアレキサンドライトレーザーの波長を使うなど、使い分けできるのが最大のメリットです。
②ジェントルマックスプロのリスク
ジェントルマックスプロは、米国FDAや厚生労働省の日本薬事承認を取得しており、重大なリスクやデメリットの心配はありません。
ただし、ジェントルレーズと同様、以下のような副作用が起こる可能性はあります。
- 赤み・腫れ
- 痛み・不快感
- 色素沈着・色素脱失
- 多毛化・硬毛化
「アレキサンドライトレーザーと熱破壊式(HR)ヤグレーザーを使い分けることでリスクはないの?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、複数のレーザーを使用したり、使い分けたりすることで有害現象が増えたという報告はありません(2022年3月時点)。
むしろ、複数の波長を組み合わせる脱毛の効果について調べた研究では、「755nm、810nm、1064nmの波長の相乗的な組み合わせが、効果的かつ安全に使用できる」と示されています。
③ジェントルマックスプロのデメリット
ジェントルマックスプロ最大のデメリットとしては、やはり痛みが強いことです。
ジェントルレーズプロと同じく冷却機能(DCD)が搭載されていますが、YAGやアレキサンドライトレーザーのピークパワー自体が高いため、-20℃の冷却ガスを当てても強い痛みを覚えます。
よく「輪ゴムで弾かれるような痛み」と言われますが、実際には「骨まで届くような鋭い痛み」を訴える方も少なくありません。
心配な場合、他の部位はジェントルマックスプロで脱毛を行い、ワキやVIOなどは痛みに配慮された脱毛器を選ぶというのもひとつの方法です。
とくに、蓄熱式のダイオードレーザー「ヴィーナスワン」は剛毛向きかつ痛みに最大限配慮した脱毛が可能ですので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ジェントルレーズはシーンを選ぶが、ジェントルマックスは万人向け

ここで、ジェントルレーズとジェントルマックスの違いをまとめてみました。
ジェントルレーズプロ | ジェントルマックスプロ | |
太い毛や剛毛 | ○ | ◎ |
産毛 | △ | ○ |
日焼け肌 | △ | ○ |
美容効果 | ○ | ◎ |
痛み | × | × |
照射スピード | 1ショット/1秒 | 2ショット/1秒 |
2つの波長を使い分けられるジェントルマックスプロの方が幅広い肌質・毛質にマッチしやすいので、ぜひ覚えていってください。
ただ、アレキサンドライトやYAGレーザーなどのフラッシュランプ式は痛みを感じやすいほか、照射スピードもゆっくりです。
もしほかの脱毛器も検討しているということでしたら、蓄熱式(SHR)ダイオードレーザーも候補に入れてみてください。
ジェントルシリーズの冷却システムは環境に優しくない

ジェントルレーズプロやジェントルマックスプロには、「ダイナミッククーリングデバイス(DCD)」が搭載されています。
-20℃の冷却ガスが瞬時に噴射される仕組みであり、痛みに配慮していると言えますが、ひとつ問題点があります。
それは、代替フロンである「1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)」が使用されているということです。
1,1,1,2-テトラフルオロエタン自体は特別珍しいものではなく、家庭用冷凍冷蔵庫や自動車用エアコンにも使用されています。
しかし、温室効果が高いため、地球温暖化防止の観点から問題視されています。
日本国内でもGWP(地球温暖化係数)の目標達成を求める「指定製品制度」が導入されており、1,1,1,2-テトラフルオロエタンもその対象です。
代替フロン冷媒を廃止し、「グリーン冷媒」の導入を進めていこうとする政策も世界各地で進められています。
このような観点から見ると、ジェントルレーズプロやジェントルマックスプロに使われている「DCD」は環境に優しいとは言えません。
特別な理由がない限り、環境にも配慮された医療レーザー脱毛機を選ぶことをおすすめします。
ジェントルシリーズには問題点も。自分に合ったマシンで脱毛しよう
「ジェントルレーズプロ」「ジェントルマックスプロ」は、長期減毛の効果が期待できるアレキサンドライトレーザー装置。
日本での導入実績も多く、有効性や安全性にも期待できます。
ただし、ショット式のレーザーは、痛みや照射スピードに課題があるという側面も。
もしあなたが「ダイオードレーザーでの脱毛に不安があって、別のマシンを検討している」ということなら、ぜひ蓄熱式ダイオードレーザーによる施術も候補に入れてください。
当サイトでは、医療脱毛レーザーの施術者、開発者の知識も交えながら、忖度のない脱毛知識を発信しています。
ダイオードレーザーやヤグレーザーだけではなく、アレキサンドライトレーザーやピコレーザーについても取り上げていますので、ぜひチェックしてくださいね。