「煩わしいムダ毛から解放されたい」「自己処理で肌が荒れる」「剃り残しが気になる」という悩みから解放してくれる方法と言えば、医療脱毛です。
しかし、気になるのがリスクとデメリット。口コミなどを見ていると、中には「医療脱毛で失敗した」「医療脱毛を受けて後悔している」といった意見もあります。
そこでこの記事では、美容皮膚科医の立場から医療脱毛のリスクとデメリットを解説します。
「医療脱毛ってどうなの?」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてくださいね。
医療脱毛で起こり得るリスク①一時的な副作用と対処法

医療脱毛をすると、以下のような副作用が起こる可能性があります。
- 腫れや赤み
- 毛嚢炎
- 表皮焼け
- 静脈の反応
副作用が起きてから慌てることのないように、症状や対処法を押さえておきましょう。
腫れや赤み
医療レーザー脱毛では、毛根や毛包などの生体細胞にアプローチしていきます。
そのため、腫れや赤みなどの副作用が一時的に起こる可能性があります。
このような場合、保冷剤や水で濡らしたタオルなどを当てて患部を冷やすことがポイントです。
多くの場合は数日すれば改善されますが、腫れや赤みがひどく、数日しても治らない場合はクリニックに相談してくださいね。
毛嚢炎
医療レーザー脱毛をすると、毛嚢炎(毛包炎)が起こるリスクもあります。
毛嚢炎とは赤みやかゆみ、化膿などの症状が現れる毛包の細菌感染症です。
アレキサンドライトレーザーなど、短めのパルス幅で照射することで起こりやすいと言われています。
毛嚢炎が起こってしまった場合、抗アレルギー剤やステロイドなどの抗菌剤で治療するのが一般的です。
数日から1週間ほどで治ることがほとんどですので、なるべく皮膚を清潔に保ち、様子を見てください。
表皮焼け
医療レーザー脱毛後、表皮焼けが起こる可能性もあります。
肌色が黒い人、日焼けしている人、色素沈着や肝斑がある人などに起こりやすく、施術翌日から10日ほどの間、黒いカサブタが現れるのが特徴です。
しばらくすると自然にカサブタが剥がれ落ち、肌の色も元通りになりますが、化粧水や日焼け止めなどの刺激で炎症後色素沈着が起きることもあるので注意が必要です。
施術前にご自身でできる予防法としては、日焼け止めを塗ったまま脱毛を受けないことです。
また、日焼けがある人、肌が黒い人、肝斑がある人は施術前にしっかりカウンセリングを受け、医師の判断を仰いでください。
静脈の反応
医療レーザーは、血液中のヘモグロビンにも吸収されるため、静脈が反応してしまうケースもあります。
静脈の反応が起きると、赤みや痛みが10日~2週間ほど続きますが、最終的には後遺症もなく回復すると言われています。
ステロイド剤や鎮痛剤などで対処できるので、静脈の反応が起こっていることが疑われる場合はクリニックに相談してください。
医療脱毛で起こり得るリスク②長期的な合併症と対処法

医療脱毛によって起こり得るリスクとして、以下のような症状も挙げられます。
- 色素沈着
- 色素脱失
- 瘢痕化(傷跡)
これらは長期的に残ってしまうこともあるので、念のため覚えておきましょう。
色素沈着
傷跡が伴わない純粋な色素沈着や、表皮焼けのあとで起こる色素沈着の場合、ある程度時間が経てば必ず消失します。
ただし、レーザーの熱によって起こる熱傷や、冷却システムによって起こる凍傷が原因で発生した色素沈着の場合、傷跡が残ってしまうことも。
このような色素沈着が起きてしまった場合、美白剤の使用やレーザー治療などは避け、経過を待つようにしましょう。
色素沈着は、医療脱毛の知識や技術に優れたクリニックを選ぶことである程度回避できます。
心配な場合、カウンセリングなどで裂傷や色素沈着に対する配慮について確認しておくといいでしょう。
色素脱失
医療レーザー脱毛により、色素脱失を起こすこともあります。
これは、肌の一部が白くなってしまうことを言い、色素沈着とは反対の症状が現れます。
色素脱失の場合も、レーザーによる熱傷と冷却システムによる凍傷が主な原因です。
適切なフルエンスを選んだり、冷却システムを使用する必要のないレーザーを選んだりすることで回避できるため、過度な心配はいりません。
瘢痕化(傷跡)
医療レーザー脱毛で傷跡が残ってしまうことはほとんどありません。とはいえ、レーザーの熱や冷却システムによって火傷が起こると、瘢痕(傷跡)になってしまいます。
ワキや口周りなど、とくに毛が密集している部分で起こるという報告があります。
真皮裂傷が起こっている場合、すぐに軟膏やガーゼパッドによる処置が必要です。
このようなリスクや処置の必要性を考えると、やはり医療脱毛の実績に優れたクリニックを選ぶことが安心材料になるでしょう。
経験の少ない施術者に任せることで長期的な合併症に繋がってしまうケースもあるので、クリニック選びの際は気を付けたいですね。
医療脱毛で起こり得るリスク③硬毛化と対処法

発生率としてはかなり低いのですが、医療脱毛で硬毛化が起こるリスクもあります。
硬毛化とは、毛の一部が太く長くなり、脱毛前よりも目立ってしまう状態です。
上腕や背中、フェイスラインなどに起こりやすいという特徴がありますが、他の部位に現れることもあります。
硬毛化が多数報告されているのはアレキサンドライトレーザーやIPLなので、心配な方はダイオードレーザーやYAGレーザーで脱毛するとよいでしょう。
医療脱毛のリスクを減らすため、施術前に確認すべきチェックリスト

医療脱毛は、れっきとした医療行為です。効果や副作用、リスクについてさまざまな研究がされており、医療脱毛が「禁忌」とされる人の特徴についても明らかになっています。
「医療脱毛を受けない方がよい」と言われる人が施術を受けると、火傷や色素沈着などのリスクも跳ね上がってしまいますので、十分気を付けましょう。
- 日焼けをしている人
- 光線過敏症の人
- 抗凝固剤を服用している人
- 6~12か月以内にイソトレチノインを内服していた人
- ケロイド・肥厚性瘢痕の人
- 皮膚ガンの病歴がある人
- 金療法を受けたことがある人
- 妊娠中の人
- ヘルペスを発症している人
- インスリン依存型糖尿病の人
- 脱毛したい部位に傷や感染がある人
- ベッカー母斑の人
- 先天性色素性母斑の人
- 毛巣洞の人
また、副作用のリスクを減らすためにも、施術時の注意点を守ることが大切です。
とくに、施術当日に日焼け止めを落とさないことが原因で火傷に繋がるケースもあるので、クリニックからの指示には必ず従ってくださいね。
医療脱毛のデメリットは、1度永久脱毛した部分は毛が生えてこないこと

医療脱毛のデメリットはほとんどありませんが、唯一挙げられるのは1度永久脱毛した部分は毛が生えてこないということです。
もちろん、永久脱毛を望む方からすればこの上ないメリットでもあります。
レーザーのエネルギーで破壊された毛根・毛包からは毛が生えてこなくなるので、数年後に後悔する可能性があることは覚えておいてください。
とくに、VIOや眉、額の生え際、男性のヒゲなどは、後々そのデザインが嫌になることもあるので、よく考えてから決めてくださいね。
リスクやデメリットを加味しても、やっぱり医療脱毛がおすすめ

- 医療脱毛をすると、腫れや赤み、毛嚢炎、表皮焼け、静脈の反応、色素沈着、色素脱失、瘢痕化(傷跡)などを引き起こすリスクがある
- 発生率は低いが、脱毛前より太く長い毛が生える硬毛化が起きるケースもある
- 自分が医療脱毛を受けられる状態かしっかり確認すること、医療脱毛中の注意点を守ることでリスクが減少する
- 1度永久脱毛が完了した部位から毛が生えてこなくなるので、VIOや眉、額の生え際、男性のヒゲなどのデザインはよく考えてから決めること
リスクがあるとはいえ、医療脱毛はほかの除毛・脱毛方法と比べてコストパフォーマンスにも優れています。
「自己処理の手間や肌ダメージから解放されたい」「確かな効果を得たい」という人にとっては、やはり医療脱毛がおすすめです。
サロン脱毛や電気脱毛と比べて高い効果が期待でき、安全性にも配慮できるので、あまり不安にならないでくださいね。
また、脱毛について熟知しているクリニックに頼ったり、脱毛期間中の注意点を守ったりという対策を取ることで、副作用が起こるリスクは減少します。
あなたが信頼できるクリニック・医師を探し、十分納得した上で医療脱毛にチャレンジしてください。