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YAG(ヤグ)レーザーに期待できる効果・エビデンスについて美容皮膚科医が解説

2022 3/28
YAG(ヤグ)レーザーに期待できる効果・エビデンスについて美容皮膚科医が解説

この記事は、医師が執筆・監修しています。

医療脱毛や美肌治療、色素斑の治療など、さまざまなシーンで使用されるYAG(ヤグ)レーザー。

ひとくちにヤグレーザーと言っても、「ロングパルスヤグレーザー」「Qスイッチヤグレーザー」「Erヤグフラクショナルレーザー」の3種類に分けられます。

そこでこの記事では、3種のヤグレーザーに期待できる効果、エビデンスについてまとめました。

医療脱毛や美肌治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

ヤグレーザーの種類

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YAGレーザーの由来は、イットリウム(Yittrium)、アルミニウム(Aluminum)、ガーネット(Garnet)の頭文字からきています。

大きく分けて以下の3種類があり、波長によって用途が異なります。

ロングパルスNd:YAG
(ネオジムヤグ)レーザー
KTPレーザーErYAG(エルビウムヤグ)フラクショナルレーザー
波長1,064nm532nm2,940nm
用途・医療脱毛
・老人性色素斑や脂漏性角化症の治療 など
・老人性色素斑や脂漏性角化症の治療
・あざの治療 など
・ニキビ跡や傷跡の治療
・タイトニング など
代表機種ジェントルマックスプロスペクトラActionⅡ

なかには2種類の波長を搭載した「Qスイッチヤグレーザー」もあります。

表のようにそれぞれ波長が違い、用途によって使い分けされる点も特徴です。

「Nd:YAGレーザー」は脱毛やシミの治療に使われる

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1,064nmの波長が特徴のNd:YAG(ネオジムヤグ)レーザーは、アレキサンドライトレーザーの欠点を補うために使用されるケースが多いレーザー装置。

主に脱毛や老人性色素斑の治療で使われます。

色素沈着を起こしている皮膚や地黒の肌でも火傷を起こしにくいほか、脱毛が難しい部位や硬毛化した部位への使用も可能だというメリットがあります。

以下では、各施術のメカニズムやエビデンスについて見ていきましょう。

治療法①脱毛

Nd:YAGレーザーは、色素に反応するレーザー。脱毛の施術で使用されるレーザー装置のひとつです。

レーザー光を肌に当てると毛のメラニンに吸収され、発毛をつかさどる組織を破壊することから、長期的な減毛効果が期待できると言われています。

なお、実際の脱毛では、以下3種類の波長が用いられます。

脱毛で使用される波長
  • 755nm:アレキサンドライトレーザー
  • 800nm/940nm:ダイオードレーザー
  • 1,064nm:Nd:YAGレーザー

これらのレーザーは老人性色素斑、そばかす、扁平母斑などの表在性色素疾患の治療で使われるレーザー(532mn)よりもパルス幅が長いという特徴があります。

そのため、「ロングパルスヤグレーザー」「ロングパルスアレキサンドライトレーザー」などと呼ばれることもあります。

Nd:YAGレーザーでも脱毛可能な部位としては、以下の通りです。


Nd:YAGレーザーで脱毛可能な部位
  • 男性のヒゲ
  • 女性の口周り
  • 硬毛化した部位
  • 硬毛化しやすい細い毛
  • 太ももや二の腕の太い毛
  • VIOなど色素沈着のある部位

肌色の濃い人(Skin TypeⅣ~Ⅵ)、地黒の方、日焼け肌の方にも適応するというのもNd:YAGレーザーの特徴です。

このように、アレキサンドライトレーザーでは脱毛が難しいと言われる部位にも照射可能なため、切り札的なレーザー装置だと言えるでしょう。

治療法②老人性色素斑や脂漏性角化症の治療

Nd:YAGレーザーは、平坦な老人性色素斑や脂漏性角化症の治療で使用されることもあります。

レーザー光がシミの黒い色素に吸収されて熱を発することで黒色メラニンが焼け、シミを除去する効果が期待できます。

一方で、厚みのある老人性色素斑や脂漏性角化症の場合、エルビウムYAGレーザーや炭酸ガスレーザーが有効です。

Nd:YAGレーザーが使われることはほとんどありません。

また、肝斑や炎症後色素斑、ADM(真皮メラノサイトーシス)に対するNd:YAGレーザーのエビデンスも不十分なので、別の波長を持つレーザーが適しているでしょう。

Nd:YAGレーザーの問題点は、痛みが非常に強いこと

Nd:YAGレーザーの問題点としては、痛みが非常に強いこととが挙げられます。

ショット式の脱毛方法であり、ピークパワーも高いので、強い痛みを覚えやすいのです。

実際、アレキサンドライトレーザーやダイオードレーザーの施術に慣れている方は「我慢できない痛み」だと訴えることもしばしばあります。

とくにVIOやワキ、男性のヒゲなどは麻酔無しでの施術が難しいと言えるでしょう。

また、注意点として、真皮裂傷が起きやすいことが挙げられます。

傷跡が残ってしまうケースもあるので、毛の状態に合わせて慎重にフルエンスを調整できるクリニックを選ぶのがポイントです。

不安がある方は、ダイオードレーザーでの施術を選んだ方が方がいいかもしれません。

参照元:「医療レーザー脱毛入門」P.78

「KTPレーザー」は老人性色素斑やあざなどの治療に使われる

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532nmの短波長が特徴のKTPレーザーは、主にQスイッチYAGレーザーに搭載されているモードのひとつ。

532nmの波長はメラニンへの吸収率が高いため、老人性色素斑や脂漏性角化症、あざなどの治療に用いられるケースが多いです。

以下では、それぞれの治療について詳しく見ていきましょう。

治療法①老人性色素斑や脂漏性角化症の治療

Nd:YAGレーザーと同様、KTPレーザーも老人性色素斑や脂漏性角化症の治療に用いられます。

過去には炭酸ガスレーザーやアルゴンレーザーが使用されていたのですが、表皮全体が焼却され、色素沈着や色素脱失が生じてしまうため、現在では使用されなくなりました。

  • メラニンを標的とした波長
  • 熱の拡散が周囲に及ばないパルス幅

シミなどの色素斑治療に適しているのは上記の条件を満たすレーザー装置であり、KTPレーザーがこれに当てはまります。

また、老人性色素斑・脂漏性角化症のほか、扁平母斑やベッカー母斑、そばかすなどの治療に使われることもあります。

治療法②黒や茶色などのあざの治療

KTPレーザーは皮膚への浸透度が浅いため、黒や茶色などのあざの治療にも使われます。

また、赤い色素であるヘモグロビンへの作用が強いため、皮膚の赤みが目出つ顔面紅斑や赤ら顔(毛細血管拡張)にアプローチすることも可能です。

一方で、青褐色のあざが特徴の太田母斑、灰色または褐色のあざが特徴のADM(後天性真皮メラノサイトーシス)にアプローチする場合、Qスイッチレーザー(ナノ秒レーザー)が使用されます。

というのも、ロングパルスヤグレーザーでは熱ダメージが強く、傷跡が残ってしまう可能性があるためです。

特にADM(後天性真皮メラノサイトーシス)は肝斑や多発性老人斑、太田母斑などと似ているため、しっかりとカウンセリング・診察を受け、症状に合った治療を選ぶことが大切です。

参照元:JJSLM

KTPレーザーとQスイッチヤグレーザーの違い一覧表

KTPレーザーは、主にQスイッチYAGレーザーに搭載されています。

このQスイッチYAGレーザーは、メラニン色素に対して適したエネルギーを照射するため、パルス幅の調整ができるという特性を持っています。

なお、Qスイッチヤグレーザーに搭載されているレーザーの特徴は以下の通りです。

KTPレーザーロングパルスNd:YAG(ネオジムヤグ)レーザー
波長532nm1,064nm
特徴・主に老人性色素斑や脂漏性角化症、あざの治療に使用される
・扁平母斑やベッカー母斑、そばかすへのアプローチも可能
・脱毛にも使用される
・美肌治療としての適応は老人性色素斑や脂漏性角化症など

代表機種としては「スペクトラ」「QX」「IRIS」など。

低出力でシャワーのように照射していくレーザートーニング治療も可能なため、シミやそばかす、肝斑などに悩む方を中心に選ばれています。

ただし、レーザーによる肝斑治療についてはエビデンスが少なく、遮光や生活改善、トラネキサム酸の服用などが有効だと考えるクリニックもあります。

大切な肌に照射するのですから、正しい知識や高度な技術を持ったクリニックを探すことが望ましいと言えるでしょう。

なお、シミや肝斑、そばかすに関してはIPLでアプローチする方法もありますので、あわせて参考にしてください。

「ErYAGレーザー」はニキビ跡や傷跡、タイトニングに使われる

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2,940nmの波長を持つErYAG(エルビウムヤグ)レーザーは、水分に反応する特徴を持っています。

そのため、熱ダメージによる損傷が少なく、治療後の赤みや腫れのリスクにも配慮した施術が可能です。

ErYAGレーザーの特徴は、点状に照射することで皮膚に小さな穴を空けるフラクショナルレーザー療法に対応している点。

傷を治そうとする力が働くことでターンオーバーの促進が促され、コラーゲン生成作用によるタイトニングや皮膚を再生させる効果が期待できます。

治療法①ニキビ・ニキビ跡の治療

皮膚に穴を空けることで肌細胞に働きかけるErYAGレーザーは、ニキビ跡の治療に使用されます。

ErYAGレーザーでは以下2つのアプローチが可能なため、赤みが目立つニキビ跡のほか、凸凹したクレーター状のニキビ跡にも効果的です。

  • 肌の深部にアプローチする「アブレイティブフラクショナルレーザー」
  • ダウンタイムに配慮した「ノンアブレイティブフラクショナルレーザー」

また、毛穴を引き締める作用にも期待できるため、ニキビの再発を予防したい方にも選ばれています。

治療法②タイトニング(肌の引き締め)治療

ErYAGレーザーは、スキャンパターンを変えることでタイトニング(肌の引き締め)効果も期待できます。

毛穴の開きやフェイスラインのたるみはもちろん、粘膜に照射することで膣のタイトニング作用も見込めます。

肌にアプローチする場合はドット状に直接照射しますが、膣タイトニング作用を目指す「インティマレーザー治療」の場合は特殊なアプリケーターを使用するのが特徴です。

膣の緩みや尿漏れ、子宮脱、萎縮性膣炎などのお悩みを持つ女性に注目されています。

ただし、腫れや痛み、出血などの副作用があるため、不安な方は膣ハイフがおすすめです。

ErYAGレーザーと炭酸ガスフラクショナルレーザーの違い一覧表

ErYAGレーザーは、ドット状にアプローチしていくフラクショナル照射が可能です。

ErYAGフラクショナルレーザーとよく比較されるのが、炭酸ガスフラクショナルレーザーです。

以下でその違いについてまとめました。

ErYAG(エルビウムヤグ)フラクショナルレーザー炭酸ガスフラクショナルレーザー(CO2レーザー)
波長2,940nm10,600nm
特徴・水分吸収率は炭酸ガスフラクショナルレーザーよりも高い
・熱ダメージは炭酸ガスフラクショナルレーザーより少ない
・止血作用が少ないため、別途処置が必要
・治療の効果を優先するとダウンタイムが長くなる傾向がある
・ステロイドの軟膏やクーリングなどが必要
・炎症後色素沈着や陥凹性瘢痕などのリスクがある

参照元:JJSLM

このように、それぞれメリットデメリットがあるため、症状や希望に合わせたマシンを選ぶようにしましょう。

炎症後色素沈着や傷跡などの副作用が心配な場合は、スーパーハイフやサーマジェン、サーマクールなども選択肢に入れてみてくださいね。

治療のメカニズムやエビデンス、リスクを踏まえたマシン選びを!

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ヤグレーザーには以下の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。

  • 脱毛/老人性色素斑や脂漏性角化症の治療:ネオジムヤグレーザー
  • 老人性色素斑やあざの治療:KTPレーザー
  • ニキビ跡や傷跡、タイトニングの治療:エルビウムヤグレーザー

効果だけを見るのではなく、治療のメカニズムやエビデンスの有無、リスクなども踏まえてマシンを選ぶようにしましょう。

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