脱毛で使用されるアレキサンドライトレーザーは、755nmの波長を持っています。
日本人の肌にマッチしやすい反面、非常に強い痛みを覚えることもあるので、快適に脱毛したい方、不安が強い方にはおすすめできません。
このページでは、そんなアレキサンドライトレーザーの特徴、適している肌の色、部位、痛みについて取り上げています。
おすすめの医療脱毛レーザーについても触れていますので、ぜひ最後までチェックしてください。
アレキサンドライトレーザーは国内導入数が多いマシン

脱毛について調べているとき、「アレキサンドライトレーザーの広告が多い」と感じたことはありませんか?
さまざまなクリニックが導入しているので、「なんとなくよさそう」とは思うものの、「どうして人気なのか」がわからない方もいるはずです。
アレキサンドライトレーザーは、たしかに国内導入数の多いレーザーマシンです。
実際、日本における減毛用レーザの稼働台数は、2014年時点で3,960台であり、そのうちの56%をアレキサンドライトレーザーが占めると言われています。
内訳としては、アレキサンドライトレーザーが2,200台、ダイオードレーザーが1,280台、Nd:YAGレーザが480台であり、偏りがあることがうかがえます。
ちなみに、アレキサンドライトレーザーの中でもっともポピュラーなマシンは、ジェントルレーズプロです。
ジェントルレーズはアレキサンドライトレーザーとして国内初の承認を得ており、導入しているクリニックが多いことは確かです。
ただ、そもそもレーザーの歴史は浅く、「どのレーザーマシンが一番効果的なのか」というエビデンス(医学的根拠)は出ていません。
後述しますが、アレキサンドライトレーザーにもデメリットがあります。
アレキサンドライトレーザーの導入数が多いからといって、安易に選ぶことはおすすめできません。
医師に勧められるまま選ぶのではなく、マシンの特性や脱毛理論などをしっかり学んでから選ぶのがベストです。
アレキサンドライトレーザーと他のレーザーの比較表

まず、レーザー脱毛機器の波長・出力についてまとめました。
波長 | パルス幅 (発光時間) | 代表機種 | |
アレキサンドライト | 755 nm | 0.25~100msec | ジェントルレーズプロ |
YAG | 1,064 nm | 0.25~100msec | ジェントルヤグプロ |
熱破壊式ダイオード | 800~810 nm | 20~40msec | ライトシェアデュエット |
蓄熱式ダイオード | 800~810 nm | 20~40msec | ヴィーナスワン |
なんとなく数字が大きいほど効果が高そうなイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、エビデンスを見てみると、「755nmのアレキサンドライトと810mnのダイオードでは、効果や副作用に優位性はない」という報告が優勢です。
また、「755nmのアレキサンドライトと1,064nmのヤグは同程度の高い減毛率を誇る」「アレキサンドライト、ヤグ、ダイオードの3者は同等である」という報告も。
このようなエビデンスを踏まえると、波長やパルス幅によって効果が大幅に変わるということはありません。
そもそも脱毛に適したパルス幅は、表皮の熱緩和時間よりも短く、毛包の熱緩和時間よりも長いことが理想。
この理論を満たす数値は10~50msecですが、実際には3msecのレーザー脱毛装置でも十分効果が見込めます。
つまり、必ずしも「100msecで出力できるアレキサンドライトレーザーやYAGレーザーが効果的」とは言えないということです。
「○○の方が高出力だから」「○○の方が波長が長いから」という理由で比べるのではなく、下記のように毛質や肌質を考慮した選び方がおすすめです。
アレキサンドライトレーザーは日本人の肌質・毛質に向いている

アレキサンドライトレーザー脱毛に適した肌の色や部位、肌質、毛質は、下記の通りです。
アレキサンドライトレーザーに 適した肌の色 | 薄い肌色~標準的な肌色 |
アレキサンドライトレーザーに 適した部位 | 脇、前腕、下腿、大腿、Vラインなど、 上腕、背中、女性の顔~首以外の部位 |
アレキサンドライトレーザーに 適した肌質 | 普通肌 |
アレキサンドライトレーザーに 適した毛質 | 普通~剛毛 |
アレキサンドライトレーザーは日本人の肌質・毛質に向いていると言われますが、とくに向いているのは普通肌。
また、薄い毛(産毛)の脱毛には向いておらず、普通~太く長い毛を脱毛するのに向いています。
肌が敏感な方、顔や首回りなどの産毛を脱毛したい方には、フルエンス(1パルスあたりのエネルギー密度)が低いダイオードレーザーがおすすめです。
「どうして肌の色や部位についての基準があるのか」については、以下で補足説明しますね。
アレキサンドライトレーザーが適している肌の色
肌のタイプは、下記のように6つに分類できると言われており、このTypeによってレーザーマシンへの適性が判断されることがあります。
スキンタイプ | 肌の色 | 日焼けしたときの皮膚の変化 |
Type Ⅰ | 白色 | 常に赤い日焼けが起きる。 黒い日焼けは生じない。 |
Type Ⅱ | ↑ | 常に赤い日焼けが起きる。 わずかに黒い日焼けが生じる。 |
Type Ⅲ | | | 時折赤い日焼けが起きる。 中等度の均一な黒い日焼けが生じる。 |
Type Ⅳ | | | わずかに赤い日焼けが起きる。 常に黒い日焼けが生じる。 |
Type V | ↓ | めったに赤い日焼けは起きない。 容易に黒い日焼けが生じる。 または濃褐色である。 |
Type Ⅵ | 濃い褐色 | 決して赤い日焼けは起きない。 皮膚は黒褐色~黒色である。 |
こちらは国際的な基準であり、白人がType Ⅰ、黒人がType Ⅵに該当するようです。
ちなみに、日本人はタイプⅡからⅣくらいだと言われています。
では、この基準がどうしてアレキサンドライトレーザーによる脱毛に関わってくるのかというと、Type Ⅰ~Ⅲであれば安全に施術できると言われているのに対し、Skin Type Ⅳ~Ⅵの人は表皮のメラニンが吸収されやすく、やけどのリスクが高いためです。
そのため、肌の色が濃いSkin Type Ⅳ~Ⅵの人、日焼け肌の人は、ダイオードレーザーまたはNd:YAGレーザーが適しています。
アレキサンドライトレーザーが適している部位
アレキサンドライトレーザーが適している部位は、脇、前腕、下腿、大腿、Vラインなど。
上腕、背中、女性の顔~首などは注意が必要です。
というのも、上腕、背中、女性の顔~首などは柔らかい毛が硬い毛に変化する「硬毛化」が起きやすいから。
実際、アレキサンドライトレーザーの施術による発症例が多く報告されています。
とくに、日本人に多い「Skin TypeⅢ~Ⅵの方が発症しやすい」という報告もあります。
心配な方は硬毛化が起きやすい部位への照射を避けるか、ダイオードレーザーなど低侵襲なレーザーマシンを選びましょう。
ダイオードレーザーについては下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひチェックしてくださいね。
アレキサンドライトレーザーは痛みが強い

アレキサンドライトレーザーの痛みについて調べてみると、「痛みは少ない」「冷却装置が付いているのでやけどのリスクが低い」といった意見が見受けられます。
しかし、アレキサンドライトレーザーはショット式なので、ピークパワーも高く、どれだけ冷やしても強い痛みを覚える可能性があります。
「輪ゴムで弾かれるような痛み」などと表現されることもありますが、骨に響くような痛みを訴える方も少なくありません。
また、副作用としては先ほど挙げた硬毛化のほか、やけどや軽度の毛嚢炎、水ぶくれ、色素沈着、赤み、腫れなどが挙げられます。
重篤なリスクの心配はほとんどありませんが、不安が大きい場合はじっくり照射する蓄熱式ダイオードレーザーを選ぶことをおすすめします。
以下の方は特に、蓄熱式ダイオードレーザーによる脱毛がおすすめです。
・痛みに弱い方
・敏感肌の方
・肌の色が濃い方
・日焼け肌の方
・日光性黒子がある方
・色素沈着がある方
医療脱毛をするならアレキサンドライトレーザー以外のマシンも要チェック
アレキサンドライトレーザーは、有効性や安全性が認められているマシンです。
とはいえ、ほかのマシンより優れているわけではありません。
特に産毛への効果は薄く、硬毛化するリスクも高いため、部位や毛質、肌質に合わせて選びましょう。
また、痛みが強い点もアレキサンドライトレーザーのデメリットです。
これから医療脱毛を受けるという方は、ダイオードレーザー脱毛や医療IPL脱毛とも比較しながら、あなたにマッチするマシンを選んでくださいね。