【LINE診断】自分の脱毛完了までかかる費用を調べてみる⇒

3つの医療レーザー脱毛とIPL脱毛、効果の違いと特徴について美容皮膚科医が解説

2022 4/07
3つの医療レーザー脱毛とIPL脱毛、効果の違いと特徴について美容皮膚科医が解説

医療脱毛で使われるのは、YAG、アレキサンドライト、ダイオード、3つのレーザーと医療IPLの4種類。それぞれ異なる波長を持ち、向いている毛質・肌質も異なります。

これらの違いについて知っておくと、スムーズなクリニック選びができるほか、副作用などのリスクから身を守ることにもつながります。

そこでこの記事では、それぞれに期待できる効果の違いと、脱毛を受ける前に知っておきたいメリット・デメリットについてまとめました。

脱毛の基礎を網羅的に解説していますので、ぜひお役立てください。

目次

YAG、アレキサンドライト、ダイオードはそれぞれ波長や得意な毛質が違う

画像

医療レーザー脱毛で使用されるレーザーは、YAG、アレキサンドライト、ダイオードの3種類です。

そのうち、ダイオードレーザーには1回1回照射するショット式と、スピーディーな照射が可能な蓄熱式の2つがあるので、厳密には4種類あります。

まずはそれぞれの仕様や効果について見てみましょう。

アレキサンドライトレーザーYAGレーザーダイオードレーザー(HR/SHR)
代表機種ジェントルレーズPROジェントルヤグPROライトシェアデザイア
波長755nm1,064nm810/940nm
進達性×
低い

高い

YAGには劣る
メラニン選択性
高い
×
低い

アレキサンドライトには劣る
効果が発揮されやすい毛質普通~太い毛産毛~太い毛産毛~太い毛
効果が発揮されにくい毛質・産毛
・白髪
白髪白髪
効果が発揮されやすい部位・ワキ
・前腕
・すね
全身全身
効果が発揮されにくい部位・背中
・上腕
・ヒゲ
日焼け肌や色黒肌への適応×
硬毛化した部位への適応×

「これらのレーザーのうち、どのレーザーが1番効果的か」という議論の答えは出ていません(2022年4月時点)。

どのレーザーも短所と長所を持ち合わせているため、アレキサンドライト+YAGなど2つの波長を搭載したマシンも増えています。

これにより、1人ひとりの毛の太さや生え方、毛根の深さ、肌色などに合わせた施術が可能です。

また、ダイオードレーザーは、アレキサンドライトとYAGの中間的な性能であり、熱破壊式と蓄熱式の切り替えが可能なものが主流です。

どのレーザーを使用するかは、クリニックの方針や医師のセンス、毛質や肌質、部位などさまざまな要素で決まるので、それぞれの違いについて覚えておきましょう。

熱破壊式(HR)と蓄熱式(SHR)の効果の優位性は証明されていない

画像

「熱破壊式と蓄熱式、どちらの効果が高いのか」と気になる方もいるでしょう。

実は、熱破壊式と蓄熱式の効果の差に関するエビデンスは少なく、どちらに優位性があるのか判断することは困難です。

ただし、仕様や痛みなどを比較することはできるので、ちょっと見てみましょう。

熱破壊式蓄熱式
出力方法高出力のレーザーを1回ずつ照射する低出力のレーザーを連続で照射する
照射時間1秒間に1~2回程度1秒間に10回程度
ターゲット部位毛包・毛根などの周辺組織毛包・毛根などの周辺組織
痛み痛みを感じやすい痛みを感じにくい

熱破壊式と蓄熱式の違いは出力方法と照射時間にあり、ターゲット部位は同じです。

「蓄熱式は効果が低い」「バルジ領域にアプローチする」といった解説を見かけることもありますが、残念ながら誤情報です。

なお、「熱破壊式と比べ、蓄熱式の方が毛髪減少率が優れている」と示されたデータもあります。このデータが全てではないので、「蓄熱式<熱破壊式」と判断するのは早計だと言えます。

【関連記事】
医療脱毛を受けるなら蓄熱式と熱破壊式どっちがおすすめ?徹底比較

医療IPL脱毛では、医療レーザー脱毛と同等の効果が期待できる

画像

次に、医療レーザー脱毛と医療IPL脱毛の違いについて見てみましょう。

医療レーザー脱毛医療IPL脱毛
エネルギーレーザー
IPL
エビデンス
有効性について示されたデータが多い

有効性について示されたデータがやや少ない
メカニズムエネルギーが毛のメラニンに吸収され、発生した熱で毛を生産する部位が破壊。毛が生えなくなるエネルギーが毛のメラニンに吸収され、発生した熱で毛を生産する部位が破壊。毛が生えなくなる
効果

日本では医療脱毛が選ばれる機会が多く、「IPL脱毛=サロン脱毛」というイメージがあることから、IPL脱毛が劣ると感じてしまう方もいるかもしれません。

ただ、米国ではIPL脱毛の人気も高く、「レーザーと同等の効果が得られている」という報告もあるようです。

参照元:JJSLMPub Med

もちろん、家庭用やサロン用のIPLマシンより、医療機器であるIPLの方が優れた効果に期待できることは言うまでもありません。

あえて効果が期待できる順で言うと、「家庭用脱毛器≦サロン脱毛<医療IPL脱毛≦医療レーザー脱毛」といった感じでしょう。

【関連記事】
IPL脱毛は、医療レーザー脱毛と同等の効果が期待できる|仕組みやエビデンスについて医師が解説

アレキサンドライトレーザーのメリット・デメリット

画像

アレキサンドライトレーザーの特徴とメリットは、以下の通りです。

  • 755nmの波長を持つフラッシュ式のデバイス
  • メラニンに吸収されやすく、低めのフルエンスでアプローチ可能 
  • 18~24mmと比較的大口径であり、毎秒2発程度の照射が可能な
  • ショット式でありながら、施術の効率にも期待できる

代表機種としては、米国シネロン・キャンデラ社の「ジェントルレーズプロ」です。

日本で薬事承認を受けているマシンも多く、アレキサンドライトレーザーを積極的に採用しているクリニック数も多いです。

ただしアレキサンドライトレーザーにも以下のようなデメリットがあります。

  • 波長が短いため深達性に乏しく、男性のヒゲなど毛根が深いところにある部位には向かない
  • VIOなど色素沈着した皮膚には適用しないため、表皮焼けが起きやすい 
  • 硬毛化が起きてしまうケースや、 硬毛化が起きた後の処置に向かないことがある

アレキサンドライトレーザーの使用時に硬毛化が起きたという報告も多いので、覚えておきましょう。

【関連記事】
アレキサンドライトレーザーには痛みや硬毛化のリスクも!脱毛前に知っておきたいマシン選びのコツを伝授

YAGレーザー脱毛のメリット・デメリット

画像

ヤグレーザー(Nd:YAGレーザー)の特徴とメリットは、以下の通りです。

  • 1,064nmの波長を持つショット式のデバイス
  • 波長が長いため深達性に優れている
  • 色素沈着があっても表皮焼けが起きにくい
  • 肌が特に黒い人種にはYAGレーザーしか使えないと言われるほど
  • 難易度の高い部位にも適応しやすい

一方でYAGレーザーには以下のようなデメリットもあります。

  • メラニンに吸収されにくいため、出力を上げなければいけない
  • 高出力でアプローチすることで、強烈な痛みを覚えやすい
  • YAGレーザーの光は真皮裂傷を起こしやすく、傷跡や赤みなどが残る可能性もある

脱毛が難しい部位への効果が期待できる反面、痛みや副作用が起きやすい点は大きなデメリットでしょう。

【関連記事】
YAG(ヤグ)レーザーに期待できる効果・エビデンスについて美容皮膚科医が解説

ダイオードレーザーのメリット・デメリット

画像

ダイオードレーザーの特徴とメリットは以下の通りです。

  • 810nmや940nmの波長を持つデバイス
  • その名の通りダイオード(半導体)の技術を応用している
  • ショット式と蓄熱式の使い分けができる
  • 照射面積が大きいので、均一的なアプローチが可能
  • 進達性が高く、薄い毛~剛毛、硬毛化した部位にも適している

まさに「アレキサンドライトレーザーとYAGレーザーのいいとこ取り」という性能を持つため、導入するクリニックも増加傾向にあります。

ダイオードレーザーのデメリットとしては、以下のことが挙げられます。

  • ハンドピースが大きなものもあり、顔やVIOなどの施術に向かない
  • テクニックや知識のない技術者が使うことで、フルエンスが下がってしまうケースもある

とはいえ過度な痛みや副作用、合併症などが引き起こされるケースにも配慮できるので、近年注目されています。

当院でもダイオードレーザーに着目しており、日本人の肌に適した「ヴィーナスワン」を開発・使用しています。

【関連記事】
ダイオードレーザー脱毛の特徴は?種類や効果、回数、仕組みについて徹底解説

医療IPLのメリット・デメリット

画像

医療IPL(光脱毛)の特徴とメリットは、以下の通りです。

  • 複数の波長の光を同時に照射できるデバイス
  • 医療レーザーと同様、毛のメラニンに吸収されて熱を放ち、毛根を破壊する効果が期待できる
  • 特定の波長の光をカットすることで、安全性も高まる

家庭用やサロン用の光美容機とは違い、出力をうまく調整することで高い脱毛効果に期待できます。

一方、以下の点はデメリットだと言えるでしょう。

  • 経年劣化すると出力が低下するので、適切に操作できるクリニックを選ぶ必要がある
  • 硬毛化が起きてしまうケースや、 硬毛化が起きた後の処置に向かないことがある
  • 資格や技術、知識を持たない人が使用すれば、火傷などにもつながる

医療IPLに関する知識や技術、実績を持つクリニックを選ぶのであれば、安全性への過度な心配はいらないでしょう。

ただ、サロン脱毛の場合は要注意。医療従事者ではない一般人がIPLのエネルギーを使用しているということもあり、「何度通っても効果がない」とがっかりしたり、健康被害を受けたりする可能性もあります。

参照元:独立行政法人 国民生活センター

【関連記事】
IPL脱毛は、医療レーザー脱毛と同等の効果が期待できる|仕組みやエビデンスについて医師が解説

医療脱毛をするなら効果や特性を踏まえた上でマシンを選ぼう

画像
この記事のまとめ
  • 医療脱毛で使われるのは、YAG、アレキサンドライト、ダイオード、3つのレーザーとIPL脱毛の4種類
  • どのデバイスにも長所と短所があるので、「どのレーザーが1番優れているのか」など、優位性がわかる研究データはない
  • アレキサンドライト+YAGなど2つ以上の波長が切替えられるマシンも増えており、毛の太さや生え方、毛根の深さ、肌色などに合わせた施術に期待できる

もちろん1人ひとりの症例に合わせることが前提ですが、クリニックの方針や医師のセンスによって「どのマシンをメインで使うのか」が異なります。

クリニック選びで失敗しないためにも、ぜひこの記事で紹介した基本知識を覚えていってくださいね。

【関連記事】
医療脱毛の痛みはレーザーによって決まる?ランキング形式で医師が解説
エステ脱毛と医療脱毛の5つの違いについて医師が解説

完全無料!ウィクリの見積もり診断!

目次